興味の壺

メカデザイン、機器デザイン、プロダクトデザイン、伝統的アーキテクチャー等を紹介します。

蓮華王院 三十三間堂

ぜひ行っておきたかった寺院の一つ。
ひたすら圧倒された。
建物に、千体の観音像に、そして、観音像前に並ぶ28体の仏像に。

蓮華王院 三十三間堂 映像や画像では、その重厚さやエネルギーは伝わって来ない。
実物のみが持つ圧倒的な存在感は、実際に訪れないと判らない。それを実感した。
素晴らしいものに接した。
この様な場所は、そう多くはない。

観音像が並ぶ、100m近い祭壇。
1000体もの観音像。
こじんまりした造作物が多いように思える日本において、圧倒的なボリュームが、無言の説得力をもって迫る。

後白河上皇が、平清盛に建立の資材協力を命じ、旧暦の長寛2年12月17日(西暦1165年1月30日)に完成したという。
これをデザインしたのは誰か?
この形式に到達した推移は何か?

奥行22m、南北120mの長大な本堂は、和様、入母屋造り、本瓦葺で、創建時から数々の地震対策が施されている。
内部の柱と梁の数にも圧倒される。

本堂内部には、10段の階段状ステージがあり、整然と並んでいる等身大の観音像は圧巻。
この圧倒的な「物量」が意味を持つ。そして我々に迫って来る。
しかも、造詣が実に素晴らしい。

また、1000体の観音像の前に並んでいる、二十八部衆と呼ばれる仏像の力感に打たれる。
有名なものは、風神・雷神(国宝)だが、他の全ても素晴らしい造形美で、躍動感があり、当時の仏師のレベルの高さが伝わって来る。
それは、単純に技術レベルだけではなく、仏師の人としての認識力、信仰心の深さを物語っていると感ずる。

蓮華王院 三十三間堂 拡大 長大な本堂を造り上げた、建築技術。
高いレベルの、仏師の技。
そして、忘れてはならないのは、仏教への信頼。
当時の日本が、非常に高い文化、信仰、そして、技術を持っていたことが判る。

改めて日本という国の懐の深さ、民意の高さに驚きを禁じ得ない。
ヨーロッパに決して引けを取らない、文明の昇華がアジアの東端でなされていた事を改めて誇りに思った。

修学旅行シーズンだったので、多くの学生で溢れていた。
その騒めきの中、一人の女性が、仏像を、観音像を眺め続けていた。
一体一体に、観て飽きない何かがある。
それが、無言で迫ってくる。その声なきメッセージに浸り、甘受している。
そう見えた。