三菱 零式艦上戦闘機52型
靖国神社遊就館を訪れた。
ゼロ戦を見るためである。
始めて見る「零式艦上戦闘機52型」は、靖国神社遊就館のロビーに置かれていた。
意表を突くように、入るとすぐに眼前に現れたゼロ戦。
機体側面の日の丸が鮮やかに飛び込んできた。
その姿に、少しばかり立ちすくんだ。
零式艦上戦闘機52型 / 遊就館
それまで、目にしてきた写真のゼロとはまったく違った。
様々な思いが浮かんでくるが、一言で言えば、
「洗練」
そこには、世界を席巻した、当時最先端のエアクラフト技術の粋が佇(たたず)んでいた。
機能が形態を決定した戦闘機としての、そして、世界が認めた傑作機としての造詣。
画像では絶対に伝わらない。
現物だけが伝える重み。
様々な概念が結晶化している。
設計者の思い、エンジン、機体の製造能力。
設計に課せられた数え切れない機能を、この造詣に集約した設計陣と、量産した当時の技術力、広い裾野を必要とする工業力に改めて思いを馳せる。
厳しい機能要求
高い設計能力
広範な周辺技術
加工技術
製造(量産)技術
製造装置を支えるマザーマシン
品質管理
整備性
Mitsubishi A6M5 "Zero"
Power Plant: Nakajima Sakae 31
参照:Warbird Depot
よくやったものだと思う。
勿論、途上技術も多々あることは理解している。その上で、これだけのものを製造し得たことに、そして、結果を出し得たことに誇りを禁じ得ない。
プロペラの奥にはシンプルな副列の、ラジアルエンジンがあった。
栄21型空冷複列型14気筒、総排気量27.9リットル、重量590kg、1130馬力。
軽量で、非常に安定性が高かったエンジン。
日本の技術遺産として保存すべきものだと思っている。