興味の壺

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鹿屋基地のゼロ戦52型

2012年の8月末、海上自衛隊鹿屋航空基地に併設されている史料館を訪れた。
鹿屋航空基地は、鹿児島の大隈半島の中央、鹿児島湾側にある。

鹿屋基地のゼロ戦52型元々は旧日本海軍の基地で、特攻作戦にも使用され、ここから飛び立った908名は再び本土の土を踏む事はなかった。
現在は、海上自衛隊が、東シナ海・日本海・太平洋海域等の防衛警備や災害派遣等の任務のため、この基地を使用している。

敷地には、最近のものを含め、かなりの数の航空機が展示してある。
唯一現存する、巨大な「2式飛行艇」も置かれている。
訪問の主な目的は、旧日本海軍艦上戦闘機ゼロ戦52型。
資料館2階に、特別攻撃隊関連の資料と共に、ゼロ戦が展示されている。
錦江湾と吹上浜から引き上げられた2機を基に、復元されたものだが、素晴らしい仕上がりだ。
引揚げ中の写真を見ると、機体は残骸としか言いようがなく、よくもここまで仕上げたものだと感嘆する。

鹿屋基地のゼロ戦52型 キャブレター エンジンは、機体に取り付けられておらず、脇に展示してあった。
こちらも、見た目は綺麗に復元されている(画像は、キャブレター部分)。

栄発動機21型
型式 空冷式複列星型14気筒
総排気量 27900cc
最大出力 1130HP
減速装置 遊星平歯車式 減速比 0.5833:1
クランク軸回転数 常用最大:2500rpm 超高速運転:3250rpm
ピストン(ボア×ストローク) 130×150(mm)
公称高度 第一速:2850m 第二速:6000m
燃料 航空95揮発油、航空91揮発油
発動機重量 642kg

ゼロ戦は間違いなく、当時、世界の最高水準の戦闘機だった。そのレベルの戦闘機を開発する事ができた国は、世界でもほんの一握りであり、日本を除けば全てが欧米だった。
このような日本の技術標本は、国立の伝統的工芸の博物館などと同列の扱いで保存展示すべきだと思う。
できれば、エンジンもレストアし、飛行可能状態まで持っていくべきだ。
現在の日本の航空法では、ゼロ戦などの飛行は禁止されているらしいが、復元し、航空ショーなどでデモ飛行を行うべきだと思う。
技術の成果として、この機体を、若いジェネレーションに伝えていく事は大切だ。

零式艦上戦闘機 ― 永遠の誇りとして。

■コクピット
鹿屋基地のゼロ戦52型 コクピット

中央上:九八式射爆照準器
主要計器上中央2つ(左から):人工水平儀+旋回計
主要計器左上3つ(左から):混合比計+航空時計+速度計
主要計器左下3つ(左から):航路計+発動機主スイッチ+高度計
中央:羅針儀(磁気コンパス)
主要計器右上3つ(左から):昇降度計+燃料圧力計+エンジン回転計
主要計器右下3つ(左から):吸入圧力計+油温計+シリンダー筒温計

■海上自衛隊鹿屋航空基地 史料館
鹿児島県鹿屋市西原 3-11-2
開館時間 9:00〜17:00 (入館は16:30まで)
入場無料 / 2階はゼロ戦のみ撮影可

■参考資料
画像上(機体全景):「なりたま通信所
画像下(コックピット)、及び計器説明文は、「My Cycle Touring with TOEI」から引用。