興味の壺

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嚴島神社

台風の影響で、雲が低く宮島を覆い、風は無かったが、不断なく小雨が降っていた。
フェリー乗場を目指すが、海辺を走る国道から見える宮島は、思いの外大きく、近く、眼前に迫る。

何度も山陽道を通りながら、宮島にある厳島神社には行くことは無かったが、行っておきたい場所だった。
やはり、海に立つ鳥居の印象が強いせいか?

厳島神社 全景国宝で、しかも世界文化遺産という最強の肩書きを持つ神社。
フェリーから見える、海上に建つ朱の大鳥居と、その先にある神殿群は荘厳だ。往復の僅かな時間だけ眺めることができる、至高の瞬間。
想像以上のインパクトだった。

嚴島神社の社殿は、長い歴史の間に幾度か手が加えられているものの、造営当時の佇まいを忠実に伝えている。
108間(約275m)の廻廊が結ぶ社殿は、寝殿造りの影響を強く受けた平安様式。

厳島神社本殿 厳島神社 本殿

厳島神社回廊 厳島神社 回廊

寝殿造りとは、平安貴族の住宅様式で、敷地の中央に寝殿(正殿)と呼ばれる中心的な建物を、その東西に対屋(たいのや)と呼ばれる付属的な建物を配し、それらを通路で結ぶ対称形の配置を基本とするもの。
平安時代の寝殿造りの様式を神社建築に取り入れ、瀬戸内海を池にみたてた壮大な発想で、平安の雅を映した究極の日本建築と言われている。

日本全国に約500社ある厳島神社の総本社。
御祭神:天照大神の子である宗像三女神。市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、田心姫命(たごりひめのみこと)、湍津姫命(たきつひめのみこと)
造り:寝殿造桧皮葺(しんでんづくりひわだぶき)
安芸国一宮。旧社格は官幣中社。

通常の神社とは違い、寝殿様式を持つ特異な神社。
しかし、社殿全体の規模が大きく、全景を掴めきれない。
内部からでは、その素晴らしさを把握しきれない。
やはり、全景の素晴らしさを掴むのは、海側からだろう。

世界文化遺産登録の栄誉から言っても、饅頭屋、その他の雑貨屋を、社殿からもう少し離すべきだろうと思った。