興味の壺

メカデザイン、機器デザイン、プロダクトデザイン、伝統的アーキテクチャー等を紹介します。

Avinton

デザインのパワーを見せつけられた製品。
デザイン意図を蔑ろにする様々な要素を抑え、主張をストレートに具現化している。

Avinton 側面 余計な小細工をしないで、全体のバランスや主張を大切にする。
実は、微細に渡り、神経の行き届いた処理を施しているのだが、それが主張することはなく、ピースとして全体を盛り立てている。

この製品の対極に位置するのが、今日の日本の製品。
ゴチャつき、こねくり回した結果、下品で、主張も意図も、ましてやフィロソフィなど無縁な、視界から外したい製品が溢れる。

所で、このモーターサイクルは、「WAKAN」としてスタートした。
「WAKAN」は、フランスの技術者ジョエル・ドマーグ(Joel Domergue)の独創的なアイデアによる。
彼が十代から持っていた、オートバイの夢を実現させたのだった。

それは、「シェルビーACコブラ」のようなマッス感。
小さな車体に、巨大なエンジンを詰め込んだ力強さを、二輪車として記述し直した。
「WAKAN」のダミータンクからテールを走る、ホワイトのストライプは、まさしく「ACコブラ」のテーマである。

2005年のショーに出品された最初のプロトタイプは、目を見張らせるものだった。

Wakan 左側面後方から Wakan ガソリンタンク Wakan ガソリン給油口 「WAKAN」のマシンは、ワンハンドレッドと呼ばれた。
最小限のボディワークと、巨大な1647cc V-twin Engine(ボア×ストローク:4"x4"インチ:つまり約100o)を覆う、細いダミータンク。
そして、電動デコンプレッサー(圧縮抜)が必要な、圧縮比、10.3。

フレームはシンプルな、3インチ径クローム・モリブデンチューブ・バックボーンで、ドライサンプ用サンプタンクを兼ねる。

スイングアームは、ダブルサイドアルミ押出。「Sachs shock」によって懸架される。
フロントサスは、倒立セリアーニ46o。

ホイールは、鍛造マルケジーニ(Marchesini alloys)。
フロントディスクは、シングルΦ340o、6ピストン「AJP」キャリパー装着。

サスペンションジオメトリーは、かなりレーシーで、ステアリングレーキは、22度。ホイールベースは、54インチ(1371o)。

シンプルなフレームはボディワークで隠され、エンジンは、余計なクレードルやパイプワークを用いずに懸架されるため、存在が明確。

燃料タンクは、シートの下、エンジンの後部に置かれる。
そのため、後部シート位置にフィラーキャップがある。

ダミータンクの上には、電動デュアル バタフライバルブがセットされた、エアインテークがある。

フューエルは、京浜シングル41o、ダウンドラフト、フラットスライド キャブレターによって供給される。

ギアボックスは、「Andrews」製5速で、独自の乾式クラッチを用いる。
プライマリーはベルト駆動。
エンジンは、アメリカンスペシャリスト、「S&S」(ハーレーベースのスペシャルエンジンサプライヤー)から供給される。

「WAKAN」は、凡そ6年の活動の後、経営を中止したが、セドリック・クレイン(Cedric Klein)によって買収され、基本デザインは変更されることなく、生産は継続されていくが、ブランドは「Avinton」となった。

セドリックは、若い頃に、「WAKAN」に出会い虜になった。
その後、「WAKAN」が消えることを知り、自分の会社を処分して「WAKAN」を引き継いだのだ。

アビントンが誕生したのは、2012年1月だった。

「WAKAN」がプロトタイプを発表してから、凡そ10年が経つ。
このシンプルで力強い、ネイキッドマッスルバイクは、未だ輝きを失うことなく、存在を主張する。

資料、画像は次のサイトより引用・参照。
Avinton」「Odd-Bike」「Agoramoto

ENGINE
Type S&S (bi-cylinder V at 45 degrees)
Displacement 1,647 cm3 (100 ci)
Cylinder heads 2 valves per cylinder controlled by 4 camshafts
Cooling Air and oil
Bore x Stroke 101.6 x 101.6 mm
Power 120 hp at 5,750 rpm
Torque 168 Nm at 3,000 rpm
POWER SUPPLY SYSTEM
Carburetor Keihin 41 mm with flat valve
Vortec air vent control Managed electronically (opens at 2,300 rpm)
Ignition CDI single fire reprogrammable
Exhaust 2 in 1 stainless steel or carbon
TRANSMISSION
Type Primary transmission by belt
Transmission ratio 1.36
Clutch 10 dry disks with pressure diaphragms
Gearbox 5 speeds (developed with Andrews)
Gearbox type Cassette transmission (double drive shaft and 6 sprockets)
Intermediary reports 2.368 / 1.876 / 1.489 / 1.216 / 1
CHASSIS
Frame Tubular with suspended engine, oil circuit integrated in the frame
Rake 22 degrees
Chasse 85 mm
Front suspension Inverted adjustable oversized Ceriani fork 46 mm (compression and rebound)
Suspension travel 100 mm
Rear suspension Mono-amortisseur Sachs
Suspension travel 125 mm
Front break 1 (or 2) 335 mm disc(s) / 1 (or 2) 6 piston calipers
Rear break Single 228 mm disc / 4 piston caliper
Tires : Front 120/70 R17
Rear 180/55 R17
DIMENTIONS / WEIGHT
Wheel base 1,380 mm
Seat height 790 mm
Weight Dry : 175 kg / Full tanks filled : 192 kg
Fuel tank capacity 13 liters with integrated submersible pump
Average consummation 5.4 liters / 100 km
Autonomy About 190 km
Oil reservoir Integrated in the frame: 3 liters (20W50)
Maximum speed 262 km/h (on race track)
Garantie 2 years of pieces and labor