プロペラ機の反トルク対策
以前から、プロペラ機のプロペラによる回転反力について疑問を抱いていた。
ヘリコプターのテールローターは、主ローターによる機体の逆回転を相殺しているが、セスナやゼロ戦などのプロペラ機はエンジンの回転とは逆方向に機体が回ろうとはしないのだろうかという疑問である。
結論からいうと、プロペラ機も、ヘリコプター同様エンジンの回転の影響を受けるため、これを抑える、反トルク対策を行っているということである。
最近(2008/07/30)、「日経Tech-on」で「零戦の垂直尾翼の断面が左右非対称である件について」という、興味深い記事が出ていた。
記事では、靖国神社の博物館「遊就館」に展示してある零戦52型の、垂直安定板の左側の方が厚く見えるとのこと。
プロペラはパイロットからから見て時計回りに回転している、機体はその反動で反時計回りに回転し、左主翼が下がる。すると機体は左旋回する。
一方、垂直尾翼の左側が膨らんでいるということは、左側に「揚力」が生じ、尾翼部分は左に引っ張られる。その結果機首は右を向き、プロペラの反トルクの影響を打ち消すということになる。
この方法はメッサーシュミットBf109において有名である。
なお、戦闘機などを扱う専門サイトでは、零戦は上記のような対策を行ってはいないとある。
簡単に、トリムタブで補正しているという(記憶曖昧)。
このような反トルク対策は様々ある。
1.垂直尾翼そのもののオフセット(1〜3度程度角度をつけて取り付ける)。
2.エンジンの取り付け角のオフセット(1〜3度程度角度をつけて取り付ける)。
3.オフセットのない垂直尾翼のラダーに左に反らした固定小タブを取り付ける。
4.左主翼の長さを右主翼よりも長くする。
5.二重反転プロペラ。
所で、双発機などのマルチプロペラ機、また、ジェット戦闘機、ジェットエンジンはどうなんだという疑問が涌いてくる。
双発機ならば、互いに逆回転させてトルクを打ち消せばいいと考えるが、実際には、そういったタイプの双発機は極少数らしい。
ロッキードP-38ライトニングは少ない例だという。