ドライスデイル ゴジラ V-ツイン
画像左は、ドライスデイル モーターサイクル(Drysdale Motorcycle:オーストラリア)社製、Vツインエンジンである。
先ず目につくのは、プッシュロッドに捻じれがなく、平行だということ。
次に、興味深いの点はコンロッド。
ナイフ&フォークコンロッド(つまりハーレータイプ)ではなく、航空機用ラジアルエンジン(星型エンジン)と全く同じ、マスター&リンクコンロッドを用いた構造をしている。
これは、P&W 4360エンジンから着想を得たといい、実際にオーナーは、P&W 4360を購入し、オーストラリアに運んでいる。
この構造のために、50度Vツインのシリンダは、ハーレーと同様、完全にインラインである 。
画像を見ると判るが、パラレルプッシュロッドになっており、それが実にシンプルな構造で実現されていることである。
通常のOHVエンジンでは、カムシャフトはクランクシャフトと平行(横置き)に配置されているが、このエンジンでは、カムシャフトは縦に配置され、4つの、25度のコニカルカム(コニカルロブ)によってプッシュロッドを押す。
実にシンプル。このため、ギアノイズは少なく、組立は容易。
そして、この構造により、プッシュロッドがパラレルに並び、カムシャフト部分の出っ張りも最小となる。
この機構は新しいものではなく、1930年代のメルセデスのGPマシンや、農業機械にも採用されていたという。
因みに、このエンジンは、スーパーチャージャー仕様。リアシリンダ後ろに見える四角い部品が、そのユニット。
画像下は、ハーレーエンジンのプッシュロッド側。
通常のOHVエンジンでは、このようにプッシュロッドは捻じれた関係になる。
このエンジンは、シングルカムシャフトタイプだと思うが、出っ張り量も多い。
勿論ハーレーとして、これはこれでいいのだ。非難するつもりは全くない。
参考までに、以前紹介した、コンフェデレートや、アビントン モーターサイクルも、パラレルプッシュロッド エンジンである。
完全にコモビティ化したモーターサイクル故、世界各地のスモールカンパニーから魅力あるプレミアムバイクが登場している。
かなり前になるが、某大手にいる友人に、プレミアムブランドの必要性を言ったことがあるが、まさしく、その方向に流れはある。
ただし、アニメやコミックからインフルーエンスされたという、「NM4」のような下品な製品を製造して恥じないメーカーとは無縁の流れ。
画像は、「The Kneeslider」「Drysdale Motorcycle Company」から引用。