ラムポンプ各部の説明
ここでは重要部品の、注意点等の説明を行います。また、非常に重要なポイントである、ドライブパイプ(入水管)の直径と、長さの関係の計算式を示します。
■ アッセンブリノート
プレッシャーチャンバー
プレッシャーチャンバー内部が、水で満たされるのを防止するため、空気室として、自転車かスクーターのチューブを、チャンバー内部に入れておきます。
チューブをチャンバーに入れた後、スポンジ程度に膨らませるが、空気を入れ過ぎてはいけません。
注:チャンバー内の空気は、徐々に水に溶けて容量が減っていきます。チューブは、それを防止するために使用します。
表2:推奨最小圧力室サイズ (毎分60サイクルで動作するラムポンプをベースにしている) |
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駆動 パイプ径 (インチ) |
サイクル当り 予想水量 (ガロン) |
圧力室の 必要体積 (ガロン) |
圧力室に 必要なパイプ長さ | ||
3インチ | 4インチ | 6インチ | |||
3/4 | 0.0042 | 0.21 | 7 | - | - |
1 | 0.0125 | 0.63 | 21 | - | - |
1-1/4 | 0.020 | 1.0 | 33 | 19 | - |
1-1/2 | 0.030 | 1.5 | 48 | 27 | - |
2 | 0.067 | 3.4 | 110 | 62 | 27 |
注:3インチのPVCパイプに、幾分膨らんだ16インチのチューブを挿入することは難しいので、推薦するプレッシャーチャンバー径の最小値は、3インチとする。 |
接着によるキャプ(画像参照)の代わりに、元々は、4インチのネジ付プラグとアダプターが使用されて来ました。
この組み合わせは、どの位テフロンシーラントが使われたか、もしくは、どんなにタイトに締められたにもかかわらず、漏れが生じ、プレッシャーチャンバーは水で満たされます。
エアが減る事で衝撃波が増加し、場合によってはポンプの寿命を短くする可能性があります。
表1:使用部品 | |||
1 | 1-1/4" バルブ | 10 | 1/4" コック |
2 | 1-1/4" ティー | 11 | 100 psi 圧力計 |
3 | 1-1/4" ユニオン | 12 | 1-1/4" x 6" ニップル |
4 | 1-1/4" スイングチェックバルブ | 13 | 4" x 1-1/4" ブッシング |
5 | 1-1/4" スプリングチェックバルブ | 14 | 4" カップリング |
6 | 3/4" ティー | 15 | 4" x 24" PR160 PVCパイプ |
7 | 3/4" バルブ | 16 | 4" PVC キャップ |
8 | 3/4" ユニオン | 17 | 3/4" x 1/4" ブッシング |
9 | 1-1/4" x 3/4" ブッシング | 18 | 17" 自転車用チューブ |
バルブ操作の説明
バルブ#1は、ポンプの駆動水の入口で、ユニオン#8は、加圧された水の出口です。
スイングチェックバルブ#4は、「弾み」「廃棄」弁として知られていますが、作動中の余分な駆動水は、ここから排出されます。
スイングチェックバルブは、打撃(Ram)を発生させて動作を開始するため、最初にスイングチェックバルブの「クラッパー(フリーに動く弁)」を指で押してスタートさせます。
バルブ#1、#7は、ゲートバルブの代えて、ボールバルブでも良いでしょう。
ボールバルブは、長期間に渡り、ポンプの衝撃波に耐える事ができるからです。
スイングチェックバルブ#4は、ストローク長を調整することができるます。
(注意:最大流量と、圧力水頭(水柱)は、開口部を上に向け、垂直に配置した時に達成されます)
スイングチェックバルブのクラッパー・ヒンジのピンが、パイプと一致するまで、バルブを回す(ねじ込む)。
クラッパーヒンジがバルブのトップ近くにあるか確認しながら、ティー(T型部品)を、わずかに垂直を過ぎるまで回します。
垂直より角度が大きくなると、ストロークサイクルが短くなる。そうすると、水が高速になる前にバルブが閉じるため、本来の圧力を得ることはできません。
また、スイングチェックバルブ#4は、プラスチック製ではなく、真鍮か、他の金属製でなければなりません。
プラスチック、またはPVCスイングチェックバルブの「クラッパー」は、軽量であるため、同程度の真鍮のスイングチェックの「クラッパー」よりも、はるかに早く閉じます。そのため、低い流速と、低い圧力しか生じません。
パイプコック(#10)は、ポンプが起動後、圧力計を保護するためのバルブです。
ポンプが起動し、正常に動作した後は閉じておきます。
出水圧力をチェックする必要がある場合に開き、通常は、圧力計を保護するために閉じておきます。
(管理人注:圧力計を設置していないラムポンプも多い)
駆動パイプ
水源からポンプまでの駆動パイプの長さは、ストロークサイクルに影響を与えます。
長い駆動パイプは、長いストロークサイクルを提供します。
駆動パイプの最大値と最小値の長さは、テーブル2を参照のこと。
駆動パイプは、亜鉛メッキパイプが最適ですが(高剛性)、スケジュール40 PVCも、充分使えます。
高剛性の亜鉛メッキパイプは、高いポンプ効率をもたらし、高い揚水高さを可能にします。
駆動パイプが直線であることよりも、高剛性であるほうが、効率には重要です。
駆動パイプの長さと、サイズの比は、経験的なデータに基づいています。
最良の範囲は、150から1000のL/D比です(L/D=150から、L/D=1000)。
これらの長さを決定するために使用する式は:
最小駆動パイプ長:L=150 ×(駆動パイプ径)
最大駆動パイプ長:L=1000 ×(駆動パイプ径)
駆動パイプのサイズが、インチである場合、長さ(L)もインチで提示され、
駆動パイプのサイズが、mmである場合、長さ(L)もmmで提示されます。
駆動パイプ長計算例
駆動パイプ径が、1-1/4インチ(1.25インチ)の場合の最小長は、L=150×1.25=187.5インチ(約15.6フィート)でなければなりません。
同じく、1-1/4インチ駆動パイプ径の最大長は、L=1000×1.25=1250インチ(104フィート)になります。
駆動パイプは、可能な限り、剛性があり、かつ直線であるべきです。
スタンドパイプは有りか無しか
多くのラムポンプ設備では、インレットパイプに、「スタンドパイプ」が取り付けられています。
このパイプの目的は、ウォーターハンマーの衝撃波を大気中に解放することです(画像下中央)。
スタンドパイプは、インレットパイプが、推奨最大長よりも長くなる場合に必要となります(例えば、前回の例では、最大インレットパイプ長は104フィートだから、インレットパイプの長さが、150フィートの場合は、スタンドパイプが必要になるかもしれません)。
スタンドパイプ(必要に応じ)は、一般的に、ポンプからインレットパイプの推奨最大長と同じ場所に設置されます。
スタンドパイプは、水源の水面よりも、垂直方向に、少なくとも1フィート(0.3m)高く設置しなければならなりません。
多くの提言では、スタンドパイプは、インレットパイプよりも、3サイズ大きくするべきだと言われています。
供給管(スタンドパイプと水源との間のパイプ)は、インレットパイプよりも1サイズ大きくする必要があります。
この理由は、インレットパイプが長すぎる場合、ウォーターハンマーの衝撃波は、遠くまで移動することになり、ラムポンプのサイクルが、スローダウンするためです。
多くの実例から、衝撃波の移動の長さによって、ポンプの動作への干渉が考えられています。
インレットパイプが推奨最大長さよりも長くない限り、スタンドパイプは必要ありませんが、覚えておくべき事項です。