興味の壺

メカデザイン、機器デザイン、プロダクトデザイン、伝統的アーキテクチャー等を紹介します。

本体改造再燃焼試験

前回行った燃焼試験で判った点の改良を行いました。

オリジナルのFULGORA STOVES LIMITED社のソーダストストーブは、ワークショップでの使用を前提としているのに対し、我々は家庭で使用できることを目的としてこのストーブを製作しました。

家庭とワークショップでの使用の一番の違いは、使用時間です。
ワークショップでは、一般的に、朝から夕方まで燃焼すればいいのに対し、家庭では、長い場合、早朝から就寝時刻までの燃焼が求められます。

ソーダストストーブ・アレンジ 前回の実験でも分かるように、オリジナルサイズで、何とかワークショップでの作業時間をカバーできます。
つまり、朝に燃料を詰めて燃焼を開始すれば、その日の燃料補給の必要はありません。

それに比べ、家庭での長時間燃焼の場合は、途中で燃料の補給が必要になってきます。
その場合、燃料がなくなってから、ストーブの蓋を取り、インナーケースに大鋸屑を詰めるという作業は現実的ではありません。室内が汚れるし、燃焼の中断は室温の低下を招きます。
簡単な燃料の補給は、大鋸屑を詰めた新しいインナーケースとの交換です。燃焼の中断も最小限で済みます。
所が、高さ600㎜のインナーケースに大鋸屑を詰めると想像以上に重く、それを高さ900㎜のストーブ本体に持ち上げてセットするのは大変だということが分かりました。

ソーダストストーブ・杉ダスト詰 FULGORA STOVES LIMITED社のソーダストストーブの紹介記事では、本体にセットしたまま大鋸屑を詰めています。

そこで、今回の最大の改良(というかアレンジ)は、本体とインナーケースの高さを100㎜下げ、インナーケースの交換を容易にしました。

高さを下げた他の理由は、室内に設置した場合、まるでドラムカンのようであるからです。高さ900㎜では、よほど広い室内空間でなければ高すぎます(ただし、それも承知でプロトタイプとして確認したかった)。
また、室内の燃焼において熱量が大きすぎる可能性も否定できませんでした。熱量が多い場合はエアーを絞ればいいのですが、不必要に本体が大きいことは無意味だからです。

画像上は、短くした本体。ボディの中間を切断してつなぎました。

画像上2は、ソーダストを詰めた所。今回は敢えて、杉のソーダストを用いました。
実際は製材所から調達する杉のソーダストがメインになります。実際の燃焼時間を確認したかったのです。

ソーダストストーブ・燃焼2時間後 ソーダストはかなり乾燥しているものを使用しました。棒でプレスすると、かなり沈んでいきます。想像以上に沈み、詰まり、結構重くなります。
上縁から20mm位の所まで詰めたから、95%程度の充填率です。

煙突は前回と同様、2本繋ぎ、長さは1900㎜。
空気取入れ口は、試験の全行程を通じ70mm開いた状態にしました。これも前回と同様です。

ソーダストストーブ・燃焼3時間後 煙道内壁に灯油を垂らして点火し、暫く待つ。
最初は、灯油が燃えるが、ソーダストには燃え付かず、燻し状態で白い煙が出続ける。
ソーダストに含まれる水分が抜けているものだと思われます。

暫くすると、ソーダスト中央の煙道から炎が上り、煙は白煙から紫煙へと変わる(画像上3)。以降、燃え尽きるまで、かすかな紫煙が出続ける。

前回、ハードウッドのソーダストを用いた場合よりも、燃焼パワーは弱く、燃焼時間も短い。これは予想されたことです。
5時間後までは、十分暖かい(いや、熱い)。空気取入れ口は一切絞ってはいないから、杉のソーダストを用いた実際の使用においては、6~7時間は問題なく暖かさを保つと思われます。

ソーダストストーブ・燃焼6時間後 燃焼時間については、今の時点で断定はできません、燃料の含水率や外気温等々、様々な外因で燃焼時間は大きく変わると思われます。

今回の試験において、画像5、6時間経過の状態時に薪を入れると通常の薪ストーブとして機能するのが分かりました。そのため、このストーブの応用範囲は広いと思われました。