興味の壺

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サザンプトン MKT フライングボート N9899

英国王立空軍博物館に展示してある、サザンプトン MKT フライングボート N9899 英国王立空軍博物館で初めて見た、木製飛行機、複葉機にはすっかり感銘した。
その中でも、木製飛行艇、スーパーマリン サザンプトン MKT フライングボートには、度肝を抜かされた。
画像では、その凄さは伝わってこない。
巨大な、木製の空飛ぶ船だ。

サザンプトンは、スピットファイアで有名な、R. J. Mitchell によってデザインされた双発複葉機で、偵察飛行艇である。

この機体は、かなり傷んでいたものを博物館が修復したもの。
画像では、曲面で構成された木製機体の様子が上手く伝えられない。
ハル(機体)と、その上部に取り付けられた円形開口部(ハッチ?)の、面のつながりが綺麗である。
集成されたベニヤの寸法出しが面倒そうである。

機体は、木製フレームに、パーティクルボードのようなものをバイヤスに張り、その上に薄い表皮となる無垢のベニア(薄板)を張り、真鍮製の木ネジで留めている。
全て3次曲面のため、面倒な作業である。
構造を見せるために、敢えて張り残してある。

そして、改めて木工の大いなる可能性を再確認した。
可能性を閉ざしているのは我々自身だ。
やれることは、まだまだ多いのだ。

タイプ:軍用偵察飛行艇
乗員:5名
最高速度:174Km
エンジン:502hp Napier Lion MK V
フレーム:木製部分(機体、主翼、テール)
メーカー:スピットファイア
初飛行:1925年3月10日
生産期間:1925-1936年
生産数:83機

英国王立空軍博物館に展示してある、サザンプトン MKT フライングボート N9899 尾翼部分 英国王立空軍博物館に展示してある、サザンプトン MKT フライングボート N9899 船底部分 英国王立空軍博物館に展示してある、サザンプトン MKT フライングボート N9899 ハッチ部分 英国王立空軍博物館に展示してある、サザンプトン MKT フライングボート N9899 胴体部分