使用感
ソーダストストーブⅡを、およそ一冬使ってきました。
大きな特徴・メリットは、着火の簡単さ。
ソーダストが燃焼する間(2~4時間)は手間いらず。
僅かな残り火で、容易に再燃焼します。
この3点です。
以下、使用感。
ペール缶に詰めたソーダストに着火して燃焼開始。
焚き付け用の細く割った薪、それに続く中サイズの薪を用意する必要がありません。
これは大きなメリットです(その代わりにソーダストを詰める作業があるが)。
竹の火吹きで、焚きつける必要もありません。
燃焼は、2~4時間続くため、その間手間いらず。
ソーダストが燃え尽きた頃、杉の柱、梁の落しを投入します。
太い角材を入れても、そのままで燃え付きます。
残り火がほんの一握りでも燃え付きます。これは驚きです。
エアーの流入は、ペール缶の下に開けた、70㎜の穴からのみ。
これがいいのか、それとも、本体とペール缶の2重構造が保温性を高めているのが良いのか?。
何しろ、太い梁の切り落しを投入して暫くすると、「ゴー」と、燃え始めるのです。
就寝前に大きな薪を2、3個入れておくと朝方まで持ちます(約4、5時間)。
そこに朝方、薪を追加すると燃え付きます。
そうやって何日も連続運転してきました。
だから、ソーダストが減らず、薪が足りない状況になりました。
大きな誤算でしたが、手間要らずで快適でした。
ただし、長時間エアー調節口を全閉にしているため、煙突の詰まりが速い。
煙突掃除は、3、4週に一度の頻度でした。
昨年の106㎜径の煙突だったら、もっと頻繁に詰まっていたと思われます。
(薪の消費が早い、煙突の詰まりが早いので、夜に薪を投入しておくことは、その後中止しました)
本体の煙突径は120㎜だから、アタッチメントを付けて、150㎜径の煙突にしたら掃除回数はもっと減るだろうし、更に2重煙突なら完璧なんだろうと思います。
去年との違いは、煙突内部のカーボン。
去年は、外部垂直部分にタール状のヤニ(流動状態が固化)がこびりつきました。
今年は、膜状。剥がれやすい。
この違いは何なのだろう。
全閉状態が続くと、外部煙突垂直部分から水滴(木酢液)が落ちて来ます。
下に受けを置いておくと、多量の木酢液が取れます。
昨年度はまったく見られなかった現象です。
灰は、ペール缶内部と、下の灰受けに溜まるため、本体内部の灰取りは必要ありません。
本体の掃除は、シーズン終了後でOK。
その地域で、容易に入手できる薪の種類によって、ストーブへの要求基準は違ってくると思われます。
当地では、杉の角材が容易に入手できます。
ハードウッドよりも、持ちは悪いのですが、燃え付きがいいこと、割る手間が不用なので重宝しています。
焚き付け用に、細く割った薪を用意するのはかなりの手間です。
ソーダストの場合、ペール缶を用意することも大変であるし、詰めることも結構大変です。
どちらが良いかは、人にもよるし、何とも言えません。
ただ、着火の簡単さと、着火後2~4時間は手間いらずのため、現状ではソーダストを支持しています。
ペール缶は容量不足のため、厳冬期(今年度の最低気温-15度C)では、熱量が足りません。
そんな場合は、ソーダスト上部に薪を積んで燃焼させています。これで熱量不足は、完全に解消されます。
ストーブ本体の問題として、作りが雑なためにエアの漏れが多いようです。
エア調整部分の隙間を減らす必要があるようです。
工房では、横型鋳物ストーブを使っています。
鋳物はいいと言われますが、個人的には、良いとは思いません。
本体が暖まるまで、多量の薪が必要です。その間、煙突から多量の熱が逃げていると思われます。
見栄えは良くありませんが、鉄板製ストーブはすぐに暖まります。薪を少量投入しただけで暖まります。
鋳鉄は、少し位では暖かくなりません。結果的に薪の使用量が違ってきます。
鋳鉄が良いと思うのは、燃焼における熱のむらが少ないことでしょうか?
今まで使用した、5種類の薪ストーブの中では、改良型ソーダストストーブに、最も満足しています。
使用感・追加事項
細く割った薪、やや太目の薪をペール缶に入れ、点火するとソーダストを用いる必要はありません。
通常の薪ストーブと同じ様に使うことができます。
点火には少量の灯油を用います(注1)。
ただし、底に穴を開けたペール缶を用いることが前提です。
穴開きペール缶を用いなければ、通常の薪ストーブと変わりません。
底に開けた穴のせいで、投入した薪への火付きが素晴らしく良いのです。
穴加工は、蓋と底板に穴を開け、重ねます。二重にするのは耐久性を増すためです。
これを15個用意しました。朝と夕方に一度ずつ点火するとして一週間分です。
余った鉄板があれば、それに穴を開けてペール缶の底に落として使用すればペール缶はもっと持ちます。
底板が最も高温になり、傷むからです。
ソーダストが燃えている間は、ソーダストが断熱材になるため、ペール缶は何ともありませんが、薪を燃やし始めると、ペール缶は真っ赤になります。
ホンマ製作所の担当者は、本体を真っ赤にさせないことが、ストーブの長持ちの秘訣だと言いました。
消耗品のペール缶が赤くなるのは構いません。それにより、本体への熱の影響が少なく、ダメージが減るのは間違いありませんから。
このストーブの問題点はペール缶の穴加工である。それさえクリアーできれば、使用感は前回の記事のとおりです。
今日(2010/03/01)は、それほど寒くありません。7時に点火し、あまり空気調整口を開けることなく、10時に外出しました。
5時に帰宅すると、ほんの少し残り火がありました。
燃えやすい細い木切れ、小片等を投入すると、「ゴ、ゴ、ゴ、ゴ」と、燃焼はすみやかに再開しました。
注1:園芸用の加圧式散布器を用いています。アタッチメントの長いノズルに交換し、ソーダスト煙道内部に灯油を散布。灰受け上のソーダストに点火すると、燃焼が始まります。
ただし、製品により、散布器のジェットニードルとシリコン部品との密着が悪く、灯油が漏れる場合があります。
ミスミで、耐灯油性の、もう少し柔らかいシリコン硬度(ショア)を指定し、この部品を製作しました。標準形状があり、各部寸法の変更ができるという便利なシステムです。値段は¥500程度。漏れは、完全に止まりました(ただし、ノズル内部に残った灯油は多少漏れる場合があります)。